リノベの教科書Textbook of renovation
リノベーション
2024.01.29

【中古住宅にワークスペースを取り入れよう】テレワークを快適にする簡単リノベーションアイデア

中古住宅では、家のつくりが今のニーズと大幅に異なっている物件も少なくないため、間取りを変更したいと思われる方もいらっしゃるでしょう。そう考えている方は是非、この機会にワークスペースを取り入れることも検討してみてください。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)5類移行後も、引き続きテレワーク(在宅勤務)で働く人が増えています。 2023年12月の時点で都内企業のテレワーク実施率は41.4%だったものの、テレワークが企業の生産性向上などに資するとして導入を支援している現状があります。[注1]

在宅での作業環境が整わない状況の中、急ピッチでテレワーク制度を導入した企業も少なくなく、一定数の在宅勤務者が多少なりともストレスを感じているようです。 もともと、テレワークは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、産学官連携で導入が進められてきたという背景があります。 新型コロナウイルス感染症がある程度落ち着きを見せた後も、引き続き働き方改革の一環として、テレワーク制度を採用・継続する企業が増えていくことでしょう。テレワーク(在宅勤務)でも会社と同じように快適に働ける仕事環境を作っていきたいものです。

テレワーク(在宅勤務)においてみんなが困る3つのこと

テレワークには、時間や場所にとらわれないで柔軟に働けるというメリットがある一方で、自宅勤務ならではの困りごとを感じる在宅ワーカーも少なくないようです。

*仕事をしている最中に生活音や家族の声が気になってしまう  *仕事に関係のないものが目に入って気が散る  *デスクやチェアが作業に適していなくて集中できない

テレワークの不満なところとしてよく言われているのが、上記の3つです。

普段働いているオフィスは、仕事に集中できるような環境になっていますが、在宅ワークではそうもいかないでしょう。

とくに、小さい子どもがいたり、ペットを飼っていたりする家庭では、仕事中にどうしても声や足音などの生活音が気になります。仕事に関係ないものが目に入ってきたり、仕事の合間にも家事や育児に追われることもあり、集中力を維持できないといったケースもあります。

せっかく自宅で働けるのに、想像以上にストレスを感じるようになった人も少なくありません。日経新聞社のアンケート調査では、テレワークへの移行した後、ストレスが「上がった」「やや上がった」と回答した人は40.0%で、「下がった」「やや下がった」の30.7%を上回る結果となりました。[注2]

テレワーク中、生産性が低下してしまうことに悩む人もいます。同じ調査では、テレワークで生産性が「下がった」「やや下がった」と回答した人は42.4%で、「上がった」「やや上がった」の27.3%を上回っているのです。[注2]

そのひとつの原因として、机や椅子の問題が挙げられます。オフィス用のデスク・チェアと異なり、日常生活で使う机や椅子は作業に適しているとは限りません。こうした机や椅子で長時間作業をすると、疲労が蓄積したり集中力が低下したりと、業務効率の大きな低下を招いてしまいます。

快適なテレワーク(在宅勤務)のコツは「仕事専用のワークスペース」を確保すること!

快適にテレワークをするためには「仕事専用のワークスペース」が必要なのです。テレワークがストレス増加や生産性低下を招く要因は、自宅での作業環境が仕事をするのに適していない点にあります。

たとえば、リビングにあるローテーブルやソファ、ダイニングのテーブルや椅子は、必ずしも長時間の作業に適しているつくりにはなっていません。テレワークを快適に行うためには、仕事専用のワークスペースが必須です。

ワークスペースといっても、必ずしもオフィスにあるような専用の個室が必要になるわけではありません。作業に適したデスクと椅子を厳選し、リノベーションで業務に集中できる空間づくりをすれば、簡単にあなただけの専用ワークスペースになります。

自宅にワークスペースを作る簡単リノベーション3つのアイデア

ワークスペースをつくる3つのアイディア
リノベーションで自宅にワークスペースを作ることは、それほど難しいことではありません。時間やコストをかけずに、長時間でも集中して作業できる仕事環境は作れます。ここでは、快適なワークスペースを作るためのリノベーションアイデアをご紹介していきます。

 

1. デスクはリビングやダイニングの端に設置する

リビングやダイニングでテレワークをする場合は、できるだけ部屋の端にワークスペースを確保して、デスクを窓や壁面に向けて配置しましょう。視界が制限されるので、仕事により集中しやすくなります。

とくに、小さい子どもや、手のかかるペットを飼っている家庭では、目が届きやすいリビング・ダイニングでの作業をおすすめします。新たに部屋を準備する必要がなく、時間も費用もかかりません。

どうしても人の声や周囲の雑音が気になったり、Web会議や電話対応が多くある場合は、作業空間に仕切りや隔たりが必要だと感じるかもしれません。そういう場合は、観葉植物やパーテーションの設置をおすすめします。費用をかけずにブースのような作業空間を演出できますし、音や視界に入る余計なものを遮断することができます。

小さな子どものいる家庭の場合は、ガラス製のパーテーションはいかがでしょうか。子どもにきちんと目も届きますし、作業に集中できる個室空間も確保できます。

 

2. 寝室にワークスペースを設置する

思い切って寝室にワークスペースをつくるのも効果的です。テレワーク用の部屋をわざわざ用意しなくてもベッドルームは基本的に就寝時しか使わないので、日中に仕事をするなら、静かで集中できるでしょう。棚付きのヘッドボードがあるタイプのベッドであれば、本やスピーカーを置くことができますし、快適な作業空間になります。寝室が広さ6畳以上あるという家庭に向いています。

しかし、生活用と仕事用のスペースはしっかり分けて、メリハリをつけたいと考える方もいるかもしれません。そうした場合、デスクと椅子を設置する場所はベッドから離し、仕事とプライベートを上手に切り分けましょう。

なお、Web会議システムを使う場合、寝具やベッドが映ることがないように気を付けましょう。きちんとプライバシーを確保できる位置にデスクを設置するようにしてください。

 

3. 納戸や空いているスペースを活用する

家の中にデッドスペースはありませんか。空いているスペースをテレワーク用のスペースとしてぜひ活用しましょう。

*使っていない納屋  *納戸  *部屋と部屋の間のデッドスペース

上記は、簡単なリノベーションをすることで、使い勝手抜群のワークスペースへ変えることができます。とくに、戸建てに多い納屋や納戸であれば、はじめから照明やライトがついている場合が多いため、大規模なリノベーションや電気工事が不要です。広い板を壁に架け渡してデスクの代わりにしたり、棚をデスクとして再利用したり、リノベーションとちょっとした工夫で簡単に個室や半個室の作業空間になります。

利用できる空間が限られてしまう中古マンションでは、部屋と部屋の間の隙間や、デッドスペースを見つけて有効活用しましょう。幅75~85㎝、奥行き50cm以上のパソコンテーブルが置けるだけの広さがあれば、ワークスペースにするには十分です。

むしろ、仕事道具など必要なものがすべて手の届く範囲に置けるため、より作業に集中できます。デッドスペースが廊下に面している場合は、入り口付近にパーテーションや観葉植物を配置したり、簡単な扉を取り付けたり、物音や話し声を遮断できるような環境をつくりましょう。

自宅ワークスペースをより快適にしよう!リノベーション時に注意すべきはこの3つ

ワークスペースの3つの注意点の説明画像

快適なテレワークのためのリノベーションで失敗しないために、事前に準備をしっかりすることが重要です。ワークスペースをより快適にするための3つのコツを解説します。快適なワークスペースを作るうえで、一番大切になるのはデスクと椅子の選定です。とくに椅子に関しては、厚生労働省の「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」で、5つの要件が定められています。

 

1. デスクは身長に合った高さで、椅子は長時間座っても疲れないものを選ぶ

背もたれや肘掛けがない椅子は、そもそも自宅作業には不向きです。座面の高さや背もたれの傾きを自由に調整でき、かつ肘掛けがあり、長時間座っていても疲れにくい椅子を選びましょう。デスクを選ぶ時は、自分の身長に合う高さであるかがポイントです。机や作業台の「床からの高さは作業者の体形にあった高さ」であることは、厚生労働省のガイドラインでも規定されています。[注3]

納屋や納戸をリノベーションし、壁に板を渡してデスク代わりにする場合は、高さを調節できるようにしてください。椅子やデスクが体に合わなければ、足腰に負荷がかかるので、腰痛・肩こりの原因になってしまいます。作業が長時間になるほど体への負担も大きくなるため、長い目で見るとよくありません。リノベーションをする時に必ず要望を伝えましょう。

 

2. 照明・温度・湿度の調整を可能にする

厚生労働省からテレワークに関する通達で、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」だけでなく、「事務所衛生基準規則」も基準として出しています。事務所衛生基準規則で定められているのが、仕事中の照明・温度・湿度の衛生基準です。

ワークスペースの照明の色は「昼白色」が基本になります。机の上の明るさが、最低でも300ルクス(lx)以上になるように調整してください。300ルクスとは、一般的なオフィスの受付・化粧室や、学校の教室と同じくらいの基準になります。

ただし、小休憩の時は照明の色や明るさを変えると、仕事にメリハリをつけることができます。リノベーションの際、新しく照明を取り付ける場合は色や明るさを調節できるタイプを選ぶといいでしょう。

また、ワークスペースの室温は17~28℃を維持し、相対湿度は40~70%に収まるようにするのが理想です。[注4]納屋・納戸やデッドスペースには、そもそも空調設備がない場合もあります。リノベーションする際、優先して設置したい重要なポイントです。ワークスペースは空調の気流が直接当たらない場所に設置することが望ましいです。

 

3.パソコンなどの配線を整理する

意外と見落としがちなのが、パソコンなどの配線の問題です。パソコンの電源ケーブルや、ルーターにつなぐLANケーブルがごちゃごちゃになっていると、見た目もスッキリせず作業に集中できないといったことになりかねません。

ケーブルがタコ足配線になる原因としては、コンセントと情報機器の位置関係が良くないことが挙げられます。コンセントやルーターの差し込み口の位置が情報機器から離れてると、延長コードがたくさん必要になったり、部屋の真ん中をケーブルが通ったりと、配線周りがスッキリしません。ケーブルに足をひっかけて転倒するリスクや、火災の出火原因となるリスクも考えられます。

コンセントの増設や取り付けには電気配線工事が必要なため、大掛かりなリノベーションをすることもありますが、快適なワークスペースのためには配線の整理は欠かすことはできないのです。

 

リノベーションで自宅にワークスペースを作り快適なテレワークを!

快適にテレワークをするためには、専用のワークスペースを必要とします。テレワーク中の余計なストレスを防ぎ、仕事に長時間集中できるようになります。ワークスペースを作ることは、自己投資のひとつです。リノベーションで作業環境を整えて、テレワーク中の生産性を上げ自己の成長や会社からの評価アップにつなげていきましょう。

記事でご紹介したリノベーションアイデアは、基本的に大掛かりなリノベーションが必要なく、時間や費用もかかりません。

「今すぐリノベーションするのは難しい!」という方でも、仕切りやパーテーションを購入するだけで、簡単にブースのようなワークスペースを作ることができます。新型コロナウイルス感染症の流行がきっかけになり、テレワーク制度を推進する企業は増加傾向にあります。

中古住宅でもリノベーションでワークスペースを手に入れ、快適にテレワークができる環境をしっかりと整えていきましょう。

 

テレワークのリノベーションに関してよくある質問

Q,簡単にワークスペースを作る方法を教えてください。

A,リビングや寝室の端にデスクを設置する方法がおすすめです。

Q,自宅でテレワークを快適に行うコツを教えてください。

A,寝巻から着替えたり、デスク等の作業場所をきちんと確保すること、時間のメリハリを作って日常生活と仕事を混在させないようにしましょう。

Q,作業場所を確保するためにおすすめのリノベーション場所を教えてください。

A,リビングの一角や、部屋と部屋の間にあるちょっとしたスペースをリノベーションしてみましょう。リノベーションをすることで立派な作業場所になります。

 

[注1]日本経済新聞

[注2]日経BizGate/「収束後もテレワーク中心に働きたい」4割 現状はストレスも

[注3] 厚生労働省/VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン[pdf]

[注4]労働省/事務所衛生基準規則

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